健康維持や美容のために必要不可欠な睡眠。
しかし、寝付きの悪さや眠りの浅さ等、睡眠の質に対して不満や悩みを抱えている方も多いことと思います。
今回は睡眠の質を高めるポイントや、具体的な対処法について解説していきます。ぜひ快適な眠りを実現してください。
目次
睡眠の質が低いとストレスが溜まり、不調になりやすい
睡眠の質が低いということは、熟睡できず十分に脳と身体が休息を取れていないということですので、あらゆるパフォーマンスが落ちます。
身体面では抵抗力が落ち、風邪等の病気にかかりやすくなりますし、食欲を増大させるグレリンと呼ばれるホルモンの分泌が促され、過度に食欲が増す場合もあるのです。
慢性的に寝不足の人は糖尿病や心筋梗塞といった生活習慣病リスクが高いと言われているのは、こういった背景があります。
また睡眠不足は脳にもダメージを与えます。
特に、意欲や感情のコントロール、注意・判断力を司る前頭葉への影響が大きく、作業能率を大幅に低下させます。
ミスが続けば、それ自体もストレスとなり、結果として更に睡眠を妨げかねません。
このように、じわじわと睡眠不足によるダメージが心身を蝕むことを近年では「睡眠負債」と呼んでいます。
熟睡するためのポイント
ではこの悪循環を絶ち、熟睡するにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは体内リズムを整える3つのポイントから見ていきましょう。
午前中に日光を浴びる
起床した際にまず光を浴びることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップします。
再びメラトニンが分泌されるのは14時間後なので、たとえ眠たくても、眠りにつきたい時間から逆算して14時間前には一度起きて一度体内時計をリセットしなければなりません。
メラトニンの分泌が止まっている間は、別名「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌されます。
セロトニンは脳の興奮を鎮め、リラックス効果を高める作用があるほか、実はメラトニンの材料でもあります。
日中に光を浴びて活動し、セロトニンをたっぷり分泌することで、そのセロトニンがメラトニンを生み出し、睡眠の質を高めてくれるというわけなのです。

規則正しい生活を習慣づける
体内時計は1日や2日では整いません。毎日同じ時間に起き、同じ時間に眠るように意識することで、徐々に身体にもそのリズムが定着してきます。
同じ時間に眠るためには、まず同じ時間に起きることから始めましょう。
前の項で解説したように、光を浴びることで睡眠までのカウントダウンが始まるので、睡眠を改善したいのなら、とにかく起床時間を固定するのが最善策です。
アラームでは起きられないのなら、タイマーで照明がつくようにしたり、カーテンを自動で開閉するようにスマートホーム化するという方法もあります。
寝る前にスマホなどのブルーライトを見ない
ブルーライトというのはその名の通りの青い光で、可視光線の中では最もエネルギーが高い光です。
紫外線に次ぐエネルギーといえば、その強さが分かりやすいでしょうか。
このブルーライト、近年ではすっかり「悪いもの」とされていますが、実はブルーライト自体は太陽光にも含まれていて、先程解説した体内時計のリセットにも必要不可欠です。
また、子どもにおいては屋外でよく遊ぶ子ほど近視の進行が抑制されるという調査結果から、ブルーライトは子どもの眼の発育に重要であるともされています。
ですから、ブルーライトそのものが悪いわけではなく、あくまでも「就寝前の強い光」が健康へ悪影響を及ぼすと考える方が良いです。
寝る前に強い光が目に入れば、脳はまだ日中であると錯覚し、メラトニンの分泌がストップしてしまいます。
寝れなくなるのを防ぐ為に寝る前はスマホやタブレットは見ないのが理想ですね。
やむを得ない場合は画面の明るさを落としたり、ブルーライトカットメガネを使うといった工夫をしましょう。

睡眠の質を上げる方法
体内リズムを整える方法をお伝えしましたが、これだけで熟睡するのは難しいはずです。
更に熟眠感を得られるよう、すぐ始められる方法から少し初期投資が必要な方法まで、6つほどご紹介します。
就寝の3時間前までに夕食を食べ終える
まずは今日から始められる方法として、夕食の時間に気を付けてみましょう。
食事をすると、それから約3時間は消化にエネルギーを使います。エネルギーを使うということは、深部体温(身体の奥、内臓の温度)が上がるということです。
生物にとって睡眠とは臓器や脳を休める時間でもあるので、省エネモードに入り深部体温が下がらなければ眠気はやってきません。
つまり、食後3時間というのは身体が消化のために活動しているので熟睡するには不向きな時間帯ということです。
夕食は就寝の3時間前までに済ませるのが理想です。
ただ食後に猛烈な眠気が来る場合もあるかと思います。
それは一時的に全身の血流が消化器系に集中するためであったり、血糖値の変化によるためです。
30分程度の仮眠をとるのは問題ありません。
自分に合った枕を選定する
人間の頭部は体重の1/10ほどの重量があります。60kgの人ならば頭は6kgあるということになります。
ではこの6kgの頭を、適切に支えられないまま眠るとどうなるでしょうか?
首や肩、背中に多大な負担がかかるのは想像がつきますよね。熟睡にはほど遠い話になってしまいます。
ぐっすりと眠りたいのなら、枕の見直しをおすすめします。
具体的には、自分の首(脛椎)のカーブと枕の高さが合っているかがポイントです。
専門店で計測を受けて、適切な高さの枕を選んでもらうのが一番ですが、近くに専門店があるとは限らないのでなかなか難しいですよね。そんな時は、バスタオル等で調整するのが良いでしょう。
低いところから始める方が調整しやすいので、まずバスタオル1枚を畳んだもので試すのがおすすめです。
およその高さが分かったら、自分でビーズ等を増減して調整ができるような枕を買ってみるのも良いでしょう。
最近は横向き寝用の枕等、沢山の機能的な枕が登場しています。下記の記事では特に人気の枕についてランキング形式で紹介しています。
マットレスの硬さをしっかり選定する
朝起きたときに腰が痛い、という方は要チェックのポイントです。
マットレスが柔らかすぎると、腰が沈みこみます。
そうすると、寝返りの度に腰を持ち上げる負荷がかかることとなり、結果として腰に痛みが出てきてしまいます。
ならば硬ければよいのかというと、それはそれで腰椎のカーブとマットレスの間に隙間が生まれ、荷重が腰に集中してしまうのでやはり腰痛を生じます。
痩せ型の方であれば、骨が当たって痛みが出る場合もあるでしょう。
多くの場合はマットレスの経年劣化等でサポート力が落ちているので、トッパーと呼ばれる薄いマットレスで硬さを調整したり、買い替えを検討するのが良いでしょう。
腰痛持ちの方からの評判がよいマットレスを紹介した記事もあるので、参考にしてみて下さい。

睡眠補助サプリで栄養素をサポートする
少々ランニングコストはかかりますが、睡眠サプリを活用するという方法もあります。
これは、リラックス効果のある成分や、セロトニンの分解を抑制する成分等を含み、眠りへ導くサポートをしてくれるものです。
冷えにより眠れない方向けに、身体を温める漢方を配合したものもあります。
こういった栄養素はもちろん食事で補うことも可能ですが、栄養バランスを考えて作る手間暇を睡眠時間に回してしまった方がいい場合もあるので、このようなサプリがあるというのは知っておいて損はないでしょう。

睡眠の質を上げる食べ物や飲み物を摂る
「眠れないときにはホットミルク」と聞いたことがありませんか?
実は、就寝前に牛乳を飲むのはとても理にかなっているのです。
牛乳には、トリプトファンと呼ばれるセロトニンやメラトニンの材料となる成分が含まれているので、睡眠をサポートする作用があります。
そして、この牛乳を温めて飲むことで一度体温が上がり、また緩やかに下がっていくのでリラックス効果も期待できます。
「寝る前の飲食はよくなかったのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、牛乳はとても消化のいい食品なので、大きな影響はありません。
他にも、睡眠にまつわる栄養素としてはグリシンやGABAといった成分があります。
どのような食品に睡眠の質を上げる成分が多く含まれるのかについては、下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

睡眠の質を上げるストレッチをする
ストレッチを行うことで筋肉の緊張がほぐれ、副交感神経が優位なリラックス状態となります。
また、末梢(手足の先)の血流が増えるので、深部体温も下がりやすくなるので寝付きをよくする効果も期待できます。
ストレッチにも色々と方法がありますが、就寝時に行う場合はゆっくりと息を吐きながらじわじわと筋を伸ばしていく静的ストレッチが大原則です。また、リラックスすることが目的なので、無理に伸ばしすぎないことも重要です。
柔軟性をあげる目的で行うのなら、日中の時間帯をおすすめします。
ストレッチの内容については別の記事で詳細に解説していますので、参考にしてください。
睡眠の質が上がれば生活の質も上がる!熟睡できる時間を増やそう!
睡眠は健康な生活のために欠かせないものです。
睡眠の質が上がれば、生活の質も向上し、生活の質が向上すればリラックスして布団に入ることができるという、良い循環が生まれます。
一度にすべてを変えるのは難しいかもしれませんが、良質な睡眠のためにできることから始めてみましょう!