治 療 実 例

【60代:男性】ついに治った、テニスがきっかけで長年繰り返し発症していた右股関節の痛み(股関節痛、グロインペイン症候群)

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

6年前から5回にわたり右股関節の痛みを繰り返していました。きっかけはテニスや下半身のトレーニング、階段のダッシュなどで、一度痛めると痛みの軽減まで4ヶ月~1年強かかっていました。最初の3回は完治していたものの、その後は軽減しても一定の痛みはとれなくなりました。股関節の鈍痛が主体で、前側が主に痛いものの後ろに感じることもありました。日常生活や運動に大きな支障があるわけではありませんが、日中は常に痛みを感じるのと、走ると半日後に痛みが増すことがありました。脚をひねったり屈伸するときにチクッと痛むことはありますが、それは瞬間的な軽い痛みでした。今回は5回目の痛みですが、テニスで痛めました。MRIではこれまで異常を指摘されたことはありませんでした。根本的な治療を期待して当院を受診されました。尚、左股関節は5年前のテニス中の転倒による大腿骨頸部骨折の既往があり、ハンソンピン固定術後ですが全く支障はない状態です。

診察時の所見

鼠径部に圧痛は乏しく、股関節の動きはぎこちないものの可動域は保たれていました。レントゲンでは、軽微の骨棘が認められるもののほぼ正常であり、MRIでも特に異常はありませんでした。早期の右変形性股関節症である可能性も考えられましたが、鈍痛のほかに下腹部痛がみられることもあるなど症状の性状からはグロインペイン症候群が最も強く疑われました。いずれにしても微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)の適応であり治療を受けていただきました。

治療の所見

外側大腿回旋動脈、内側大腿回旋動脈という股関節を取り巻く血管の造影において病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されたほか、グロインペイン症候群に特徴的な恥骨結合周囲の痛みを反映して恥骨枝においてもモヤモヤ血管を認めました。それぞれ、治療後は画像上速やかに消失しました。造影所見からはやはりグロインペイン症候群に合致するものと判断されました。

治療前画像:損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより発生した異常な新生血管
治療後画像:カテーテルを用いて塞栓物質を血管内に投与し新生血管を塞いだ状態

治療後の経過

治療後2週間、鈍痛はだいぶ軽くなり、外側の痛みはほとんど消失しました。治療後1か月半、まだ鼠径部の奥に一定の違和感はあるものの痛いというよりも痛痒いという感じでした。下腹部痛は消失しました。股関節外旋動作が以前よりもスムーズになりました。治療後3ヶ月、違和感も含めてすべての症状が消失しました。これからも比較的ハードにテニスをする機会があるようであり、再発予防や手首・足首など他部位の発症予防について詳細にアドバイスをさせていただき終診としました。その後も順調に経過されています。グロインペイン症候群はスポーツ障害の一つであり、カテーテル治療が有効な疾患の一つですが、完全に治るのに少し時間を要する傾向があります。本症例でも1ヶ月でほぼ痛みはよくなったものの、完全に違和感が消えるのに3ヶ月までかかりました。その間絶対に運動ができないわけではありませんが、基本は安静ですので、運動再開は慎重に行っていく必要があります。治療後1ヶ月半の間運動を自重していただいたことで、特にぶり返すことなく完治しました。MRIで全く異常はないが鈍痛があるということはよくありますが、鈍痛については運動器カテーテル治療が良く効く症候の一つでもあります。ご参考にしていただければ幸いです。

変形性股関節症の詳しい病状説明はこちら

 
 

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