治 療 実 例

肩関節の最重症の痛み?80代女性に生じた変形性肩関節症による慢性疼痛

鴨井先生による動画解説

受診までの経過

15年ほど前から右肩に軽い痛みはありました。5年前には右変形性肩関節症と診断され、腱板断裂なども合併していると言われていました。注射などで整形外科に通院を続けていましたが、梅雨に入ってから夜も眠れないほどの痛みを感じるようになり当院を受診されました。これまで身体の様々な部位を傷めてきており、20代後半から慢性腰痛、60代で変形性膝関節症、70代で脊柱管狭窄症および腰椎すべり症、頚椎症などと診断されていました。助産師として長年勤務しておられ、仕事での労働作業などが負担になったものと思われました。

診察時の所見

肩関節の可動域制限は軽度でしたが、首の可動域は著しく制限されていました。エコー検査では、4つの腱板の内、少なくとも3つにおいて著しい異常血管増生(モヤモヤ血管)を伴う断裂を認めました。炎症所見は上腕二頭筋長頭腱周囲を含めて肩関節全体に広範に及んでいました。レントゲン検査では、右肩関節に骨硬化像や骨棘形成、関節裂隙の著明な狭小化などを認めました。左肩関節と比べると一見して異常とお分かりいただけるかと思います。高度の頸椎変形もみられましたが、しびれなどの神経症状は認められませんでした。以上の結果から、モヤモヤ血管の関与は明らかでしたので、変形肩関節症および首肩こりに対してカテーテル治療を受けていただくこととなりました。

治療の所見

エコー検査で多量の異常血流増生が確認されていたので、予想通りではありましたが、各所にモヤモヤ血管が著明に描出されました。それぞれ治療を行い、血管造影上は速やかに消失しました。

治療後の経過

3週間後の再診時には、右肩のズキズキする痛みがまだ変わらないということでした。さらに2週間経過した頃(治療後5週間)、ずいぶん改善してきて、痛みは元の3割程度になりました。その後、熱心に取り組んできたコーラスを再開できるようになりました。しばらく声を出していなかったので、まだしっかり出せていないとのことでしたが、だんだんと活動できるようになってきました。実は、首肩こりは呼吸筋にも影響を及ぼすため、治療後は呼吸が楽になります。コーラスにとっても良い影響が出たのではないかと思います。その後も特段の増悪なく経過されましたが、治療後6ヶ月の再診時に、右肩には一定の痛みが残っていました。予想されたことではありますが、やはり変形肩関節症に至ると炎症が絶えず起こり続けるようになりますから、なかなか痛みを完全に無くすことはできません。それでも当初のことを思えばずいぶんと楽になり日常生活に支障はないということで、ご本人は満足しておられました。半年の経過である程度落ち着きましたので、一旦区切りを着けることとしましたが、またお困りになるようでしたら全力でサポートさせていただくつもりです。肩関節は、股関節や膝関節と比べると荷重負担が小さいので、変形関節症は起こしにくいのですが、酷使してきた方や、80歳以上の方の中には変形肩関節症に至っている方が見受けられます。あらゆる治療が効きにくくなってきますが、モヤモヤ血管に対する運動器カテーテル治療によって炎症を大幅に鎮めることは可能です。痛みがゼロにならなくても日常生活を通常通り送れるレベルまで改善させることは可能です。

変形性肩関節症の詳しい病状説明はこちら

 
 

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