治 療 実 例
きっかけはボーリングでした。5ヶ月前から投球の際に軸足となる左膝を伸ばすときに痛みが出るようになりました。小走りができないほどのひどい痛みを感じることもありましたが、電気を当てたりいろんな治療を受けることで少し改善しました。しかしながら、膝を伸ばした状態で力を入れたりすると痛い、またボーリングをできるようになりたいとのことで当院を受診されました。前医のMRI検査で膝蓋腱炎と診断されていました。 ボーリングでジャンパー膝(膝蓋腱炎)になるの?と思われるかもしれませんが、1回に15ゲームすることもあるほどの猛者でしたから、相当の負担がかかっていたものと推察されます。
膝のお皿(膝蓋骨)の下に典型的な圧痛がありました。エコー検査では、一部水が溜まっていたほか、膝蓋腱の腫れ、腱内の異常血流(モヤモヤ血管を反映)、腱が引っ張ることによって生じる膝蓋骨の剥離像を認めました。診断は膝蓋腱炎です。モヤモヤ血管の関与は明らかでしたので、運動器カテーテル治療(運動器EVT)を受けていただきました。
この部位のモヤモヤ血管は、膝の外側後方から前に向かって伸びる血管(外側下膝動脈)から観察されることが多く、この血管を中心に薬液を投与しました。膝を斜めからみた画像では、外側下膝動脈が膝蓋腱およびその深部にある膝蓋下脂肪体、あるいは膝蓋骨周囲に灌流している様子が確認できます。治療後は、画像上速やかにモヤモヤ血管が消失しました。
治療直後から痛みが楽になりました。3週間後の診察時には、完全に痛みが消失していました。エコー観察では異常血流が消失しており、膝蓋腱の腫れもひいてきていました。治療後3ヶ月時点でも痛みなく経過していました。膝蓋骨の剥離像などは残存したままですが、腫れは退縮し、ある程度組織が落ち着いている様子が観察されました。腱炎や腱付着部炎は他の慢性痛に比べて炎症が強いためか、比較的早期に痛みが改善することが多いのですが、この方も早い段階で痛みから解放されていました。
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