治 療 実 例

心臓ペースメーカー植え込み後に生じた耐え難い胸の痛み

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

心臓ペースメーカー留置をきっかけに、8か月前から左胸のペースメーカー植え込み部位の下方に痛みを生じていました。循環器内科で何度もペースメーカーのチェックを受けましたがペースメーカーの動作やリード位置自体には問題なく因果関係は不明とのことでした。ペインクリニック外来に紹介となり、リリカ・サインバルタ・セレコックスなど処方されましたが改善なく、キシロカインの点滴を何度も受けましたが効果ありませんでした。ここ1週間は痛みで眠れず精神的に限界に達し、毎日が地獄のように感じるとのことで当院を受診されました。

診察時の所見

ペースメーカー周囲および、それよりも下方において著明な圧痛を認めました。エコーなどでは特異的な所見は認められませんでしたが、症状の性状から運動器カテーテル治療(運動器EVT)有効と判断し、治療を受けていただきました。

治療の所見

痛みの部位は、ペースメーカー電極とペースメーカー電池植え込み部位の間から脇にかけてでした。こうした部位は、帯状疱疹後神経痛や肋軟骨炎、肋間神経痛の治療に類似します。肺と重なること、および病的新生血管が極小であることから血管造影で視認できることはほとんどありません(視認できるかどうかは治療に差し支えません)。同領域に関係する血管から治療を行いました。治療中に一定の痛み(再現痛)が生じますが、この方は通常よりも強く感じておられました。

治療後の経過

治療後2日ほどは、治療に伴う痛みが激しく続きました。その後収まるも元々の痛みは持続しており、夜間は特にひどいとのことで3日目に再診されました。尚、前述の服薬はすべて中止となり、カロナールおよびトラムセットを少量使用することとなっていました(トラムセット増量により吐き気を生じたため)。その後4日間激痛がおさまり、これまでの3ヶ月とは全く違う、まだぐっすり眠れるわけではないが、眠れるようになってきたと言われました。カロナールも服用頻度が減りました。治療後11日目、昼間の痛みは半分以下になりましたが、夜になるとまだ痛みが増悪する状況でした。まだまだかなり苦痛が残っており、月2-4回の局所注射(ブロック注射・リリース注射)にて加療しました。治療後1ヶ月、半分くらい眠れるようになったため、2週間ごとの受診としました。治療後2ヶ月、激痛はなくなり、朝ズキズキするくらいまで改善しました。トラムセットも中止できるようになりました。治療後4ヶ月、まだ2-3日に1回は2割ほどの痛みがでていましたが、その範囲はだいぶ狭くなりました。4ヶ月半を過ぎる頃、胸の痛みはあまり気にならなくなった一方、腰の痛みが気になるため一旦当院の通院は終了し、近くの整形外科にしばらく腰をみてもらうということになりました。非常に難治の激しい苦痛をともなう痛みでしたが、なんとか改善されてよかったです。治療後は毎日のようにお電話をいただくほどでしたから、心身ともにかなり追い込まれていたことと思います。直接の原因は不明瞭ですが、ペースメーカー植え込みとなにか因果関係があったのは間違いないでしょう。こうした原因がはっきりしない難治の痛みにも効果があったことは他の多くの方々にとっても福音になると思いご紹介させていただきました。

関連記事一覧

PAGE TOP