治 療 実 例

放射線治療(重粒子線治療)後の後遺症による難治性の足の痛み

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

23歳のときに、左足の親指の付け根に、左足蜂巣状軟部肉腫を発症しました。(当時は病名不明で後に診断されました)。足が3倍にも腫れたため、42歳のときに重粒子線治療を受けました。2-4趾は曲がったままで、足裏は腫れが固まったような状態で、趾(ゆび)、足の甲、裏(足底)、踵が痛くて歩くのが辛いということで当院にご相談いただきました。

診察時の所見

一見して左足は大きく腫れていて、2-4趾(真ん中の3本のゆび)は曲がっていました。レントゲンでは側面像でその様子が明らかです。正面増では中足骨が大きく変形し、やせ細っていました(放射線治療による骨変化が考えられます)。外反母趾もみられます。
足裏からエコー観察を行うと、腫瘍崩壊後や放射線治療による組織変化が混在したようなかなり荒廃した状態であり、異常血流が非常に豊富に認められました。異常血流増生をともなう慢性炎症が持続していることは明らかでしたので、モヤモヤ血管治療(運動器カテーテル治療)を受けていただきました。

治療の所見

足底動脈造影をすると、側面像において、エコーで観察された異常血流部位に一致してモヤモヤ血管(病的新生血管)が観察されました。治療後は画像上速やかに消失しました。

治療後の経過

治療後徐々に腫れが引いてきて、1週間くらいで柔らかくなってきたように感じました。痛みも前より楽になったような気がして、歩いた時の痛みも減りました。足の趾(ゆび)の3本の付け根が前は固まっていて圧迫感があったのが、感覚が戻ってきて痛みを感じるようになりました。2ヶ月半を過ぎたころ、左足の余計な組織が減ったような感じでスッキリしてきました。足の裏に力を入れて動かす際に前よりも力が入るようになりました。2,3趾(人差し指、中指)の付け根の痛みはなくなってきました。治療後3ヶ月、足の腫れとともに、まだまだエコーでは異常血流が残存しておりましたので、追加で簡易の微細動脈塞栓術(足の動注治療)を行いました。治療直後に痺れ感があったものの、4-5日してからこれまでと異なる痛みを感じるようになりました。重粒子治療を受ける前のような感覚であり、これまでは無感覚だった部位に痛みを感じるようになったことは自身としてはよい変化だと思うと言われました。治療後4ヶ月、効果がみられてきたため、再度簡易の微細動脈塞栓術(足の動注治療)を行いました。治療後5ヶ月半、見た目でも明らかに足の形が小さくなっており、エコーでみられた炎症組織の異常血流も大幅に減っていました。1,2趾(親指、人差し指)の関節が柔らかくなり、なんと伸ばせるようになってきました。治療後6ヶ月半、さらに腫れが引き、力が入れられるようになり、歩く時の痛みも改善していました。放射線治療後の後遺症については、これまでなかなか有効な治療法がなく、悩んでおられる方は大変多いことと思います。本症例はモヤモヤ血管治療(微細動脈塞栓術)が非常によく効いて、大きく症状が改善されました。見た目にもこれほど大きな変化が起こるとは驚くばかりです。放射線治療後は、必ず組織障害が起こり、一定程度のモヤモヤ血管が生じます。治療は理にかなっているわけですが、実際にこれほど有効であるという事実は多くの方々に知っていただきたいと思います。

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