治 療 実 例
ゴルフや筋力トレーニングの負担などで、半年前から左肘の外側に痛みがありました。整形外科でステロイド注射を受けましたが、2日くらいで痛みがぶり返してしまいました。整骨院での電気治療なども受けたが改善しないため当院を受診されました。
左肘の外側(左上腕骨外側上顆)において、軽く触れただけでも強い痛みが生じ、手首を上に返す動作(背屈)もほとんどできないほどの状態でした。エコー検査では同部位に一致して異常血流信号増生(モヤモヤ血管を反映)を認め、腱腫脹および一部腱の変性所見(黒く抜けた低エコー領域)を認めました。旺盛な炎症所見に加えて、ステロイド注射後もすぐに再燃してしまうような治療経過より重症のテニス肘と判断し運動器カテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。
外側上顆に分布する血管を複数個所治療しました。画像は橈側反回動脈造影ですが、モヤモヤ血管が濃染像として描出されています。治療後は画像上速やかに消失しました。
治療2日後から痛みが改善してきました。2週間後の再診時、たまに押すと痛いものの以前のようなたまらない痛みはなくなったとのことでした。エコーでは異常血流信号は完全に消失しており、腱腫脹も軽減されていました。元が重症でしたので再度1か月後に来院していただいたところ(治療後1ヶ月半)、全く痛みはありませんでした。異常血流信号は引き続き認められず腱の状態もさらに改善していました。その後、球数を制限して徐々にゴルフの練習なども再開されましたが、治療後3ヶ月でも痛みなく経過しておられたため終診となりました。繰り返しのステロイド注射は腱を傷めてしまう懸念があり慎重に用いる必要がありますが、一時的に炎症を鎮める効果は強いです。ステロイド注射後もすぐにぶり返していた経緯やエコー検査の結果から、当初はかなり激しい炎症状態であり重症であったため慎重に経過観察をしましたが、予想以上に早期から改善してその後の再発もなく順調に経過されました。カテーテル治療の効果もさることながら、ご本人の安静に対する意識が高く、完全によくなるまでは無理せずにゴルフや筋力トレーニングなどを一切控えていただいたことが良かったのだと思います。
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