治 療 実 例

【70代:女性】事前診察で有効性について懸念されたものの、痛みを大幅に改善させることができた長期間に及ぶ帯状疱疹後神経痛の症例(帯状疱疹後神経痛(PHN))

鴨井院長による動画解説

受診までの経過

2年4ヶ月前に帯状疱疹に罹患しました。以後、背中、特に肩甲骨の内側あたり、および側胸部に四六時中続くズキンとする痛みが生じるようになりました。何かで押さえたり密着させていると楽なためソファに背中を押し付けたりしていました。服が擦れた時には痛いときがあるほか、手を挙げてブラッシングをするときなどに側胸部に痛みを感じていました。入浴では特に痛みは変化しませんでした。高度の睡眠障害やうつ状態の合併はありませんでした。当初は皮膚科で内服薬を処方されましたが効果がなく、ブロック注射を10回ほど、鍼灸に15回ほど行きましたが痛みがとれず、通散湯という漢方薬を2-3ヶ月飲んでも変わりませんでした。ヒルドイドを塗ると多少楽になり、乾燥すると悪化するように感じていました。プレガバリンを内服継続していましたが無効でした。罹病機関(1年以上)、年齢(70歳代後半)、疼痛の性質から治療の有効性が高いとはいえませんでしたので、無効の可能性があることも十分ご理解いただいたうえでカテーテル治療(微細動脈塞栓術)を受けていただきました。

治療の所見

慢性疼痛で苦しんでいる方は少なからず首のこりを合併していますが、特に上半身の痛みの方の場合はその程度を評価して必要に応じて一緒に治療することをおすすめしています。頸椎からは多くの神経が筋肉の間を通って上肢や背中に分布しますので、その影響は非常に大きいからです。本症例でも深頸動脈という首の主要な血管を造影すると、モヤモヤ血管(病的新生血管)が造影剤の濃染像として多く認められました(写真②)。治療後は画像上速やかに消失しました。次いで、背部/肩甲骨内側および側胸部の治療を行いました(写真③)。帯状疱疹後神経痛に関与する病的新生血管は画像上描出できることはほとんどなく、胸背部は特に肺とかぶるためモヤモヤ血管として視覚的に捉えることはできませんが、治療に支障はありませんので、痛みの部位を網羅するように選択的に薬液を投与して治療を終えました。尚、治療中は普段の疼痛部位に一定の熱感や軽い痛みを感じますのでそれにより疼痛部位を治療できたことが患者本人にも実感していただくことができます。

治療後の経過

治療後2週間、本人の実感としてはまったく変化はありませんでした。一方、診察時の圧痛範囲が狭くなっていました。治療後1ヶ月半、はっきりと痛みが改善し、当初の痛みからは半減していました(5/10程度)。圧痛の範囲や程度も改善していました。治療後3ヶ月の診察では、痛みはなんと1-2/10程度まで激減していました。さらに皮膚の色調が大幅に改善していました。このことは微細動脈塞栓術(カテーテル治療)後に良く経験されるのですが、局所における血流が大幅に改善することにより組織の代謝が進んだ結果だと考えられます。痛みの改善を視覚的に捉えることはできませんが、こうした変化からも治療効果を読み取ることができます。圧痛はほんの1か所のみとなっていました。その後は残った痛みがなかなか無くなるまではいかず小康状態がしばらく続きましたが、当初のことを考えれば劇的に改善しておりご本人は大変満足しておられました。ここから元のように痛みがぶり返すようなことはないため、半年の時点で一旦通院は終了といたしました。当院では帯状疱疹後神経痛の多種多様の状態の方に対して治療を行ってきておりますが、肩関節の痛みのようにほとんどすべての方に有効とまでは言えないため、その治療適応については慎重に判断の上丁寧にご説明をしております。本症例も有効性が高いとまでは言えない状況でしたが、可能性にかけてみたいとご本人が思い切って治療をお受けになりました。非常に良い結果となって本当に良かったと思います。他に中々有効な手立てがない難しい疾患ですので、少しでも多くの方が救われればと願ってやみません。

帯状疱疹後神経痛の詳しい病状説明はこちら

 
 

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