レントゲンでは見えない痛みの原因

モヤモヤ血管とは

痛みの原因部位にできてしまう異常な新生血管

損傷を受ける、あるいは繰り返しのストレスにより炎症が起きている部位には、その修復の過程で血管が増えます。
痛みの原因部位にできてしまう異常な血管が、血管造影画像では、かすんでぼやけて見えるため、この新生血管をわかりやすいように“モヤモヤ血管”と呼んでいます。
モヤモヤ血管は通常、出来ては消え、出来ては消え、ということを繰り返していますが、何らかの原因で消えなくなった病的新生血管のそばには病的な神経も増殖していることが分かっています。これらが痛み信号を発するほか、病的血流が増えることで局所の組織圧が高まることなどにより、五十肩や腰痛、膝の痛みなどの長引く痛みが引き起こされると考えられています。一般に、40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、長引く痛みが生じやすくなります。
3ヶ月以上経過したモヤモヤ血管はなかなか消えないため、当院では症状の程度により注射療法と運動器カテーテル療法を組み合わせて治療を行っております。特に、運動器カテーテルは非常に強力に、かつ広範に炎症を減らすことが期待できます。

どのような方が対象となるか?

●概ね、3ヶ月以上の長引く痛み(慢性疼痛の方:急性疼痛は自然軽快することがあるため)
●他院で『手術を行わない方針』となっているが、痛みが改善しない方
●手術を含む治療を他院で受けたが、痛みが残っている方
●医療機関で『原因不明の痛み』と言われている方
●鍼・マッサージ・リハビリテーションなどに通い続けても痛みがとれない方。
●痛み止めを辞められない方(痛み止めを飲み続けると、胃や腎臓が悪くなってしまいます)
●スポーツや仕事での、繰り返しの動作により生じるようになった痛み

モヤモヤ血管ギャラリー

【首のモヤモヤ血管(首こり、頚椎症、頸肩腕症候群)】
首は頭を支えているだけでなく、あらゆる神経の源である脊髄の通り道も内在する人体の要所です。この部位のモヤモヤ血管は、単なる筋肉のこりにとどまらず、頭痛、頭重感、嘔気、気分不良、睡眠障害、食欲低下、頸部の可動域制限、肩こりの合併、背中の圧迫感、手のしびれや筋力低下など様々な症状に関係します。本症例では、深頸動脈造影において著明な濃染像として描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。
※頭頸部の血管は脊髄や脳を栄養する血管と生理的に交通のある部位が存在します。治療に際しては、必ず経験豊富な施設/医師にご相談ください。

 

【肩こりのモヤモヤ血管】
頸横動脈から分枝する浅頸動脈や肩甲背動脈から描出されるモヤモヤ血管が主な標的となります。この症例では、肩甲骨周囲に向かう血管は下行肩甲動脈という別の血管から延びており、それぞれ濃染像を確認できます。僧帽筋や肩甲骨周囲のこり・痛みに関与します。治療後、濃染像は速やかに消失し、正常血管が太く末梢まで描出されるようになります。血行がダイナミックに変化することがわかります。治療後は、2-4週間で痛みが取れてくるだけでなく、血行が良くなるためか、こりもとれて筋肉が柔らかくなっていきます。

【肩関節のモヤモヤ血管】
血管造影でよく見える場所の一つです。肩関節周囲炎、五十肩(凍結肩)、石灰沈着性腱板炎、腱板断裂、インピンジメント症候群、変形性肩関節症、上腕二頭筋長頭腱炎などで観察されます。肩峰、腱板疎部、結節間溝周囲、QLS領域、上腕外後側などで特に濃染像が確認されます。血管の視点に立つと、疾患の種類によらず肩関節の痛みをほぼ同様の治療で治すことができる点も興味深いところです。

【肘のモヤモヤ血管(テニス肘=上腕骨外側上顆炎)】
肘はモヤモヤ血管がよく観察できる部位です。症例①では橈側側副動脈造影により、症例②では橈側半回動脈造影により、肘の外側、上腕骨外側上顆の伸筋腱付着部周囲に一致して病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されています。エコーでも観察できる部位ですが、全体像や炎症の拡がりについては、血管撮影の方がより詳細に把握できます。肘では肘動脈網と言われるネットワークが存在しますので、関係する血管を漏れなく確認する必要があります。

 

【肘のモヤモヤ血管(ゴルフ肘=上腕骨内側上顆炎)】
肘はモヤモヤ血管がよく観察できる部位です。本症例では尺側側副動脈造影により、、肘の内側、上腕骨内側上顆の屈筋腱付着部周囲に一致して病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されています。エコーでも観察できる部位ですが、全体像や炎症の拡がりについては、血管撮影の方がより詳細に把握できます。肘では肘動脈網と言われるネットワークが存在しますので、関係する血管を漏れなく確認する必要があります。

 
 

【膝のモヤモヤ血管(変形性膝関節症)】
膝はモヤモヤ血管が良く観察できる部位です。変形性膝関節症は慢性炎症が常に存在する疾患ですので、必ずと言ってよいほどモヤモヤ血管が存在します。膝には、膝関節を取り巻くように存在する膝窩動脈網というネットワークがありますが、各部位において、血管造影により病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されます。膝という限局した部位で複数の血管が関与しているため、漏れなく確認することが重要です。治療後は画像上速やかに消失します。

【膝のモヤモヤ血管(ジャンパー膝=膝蓋腱炎)】
膝蓋腱炎は炎症の強い疾患です。膝のお皿(膝蓋骨)の下に位置する膝蓋腱、あるいはその深層にある膝蓋下脂肪体に延びる病的新生血管(モヤモヤ血管)が確認されます。本症例では、内側下膝動脈造影により、同部位に濃染像として描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。

 
 

【アキレス腱のモヤモヤ血管(アキレス腱炎)】
後脛骨動脈からアキレス腱に延びるモヤモヤ血管が観察されます。腓骨動脈からも延びることがあります。アキレス腱はエコーでも病的新生血管による血流信号を確認できる部位ですが、血管撮影検査ではこのような濃染像としてとらえることができます。濃染像周囲に描出される太い血管は静脈です。病的新生血管は動静脈瘻を伴うことがありますが、こうした早期静脈造影画像がみられるということは、動静脈瘻を伴う病的新生血管が存在することが示唆されます。一見して異常と言える画像所見です。治療後は、画像上速やかに消失します。動静脈の異常な交通も遮断されることで、静脈が描出されなくなっていることもわかります。
*通常血液は、動脈➡毛細血管➡末梢組織に酸素・栄養を届ける➡静脈➡心臓と流れますが、動静脈瘻があると動脈➡静脈➡心臓というふうに流れることになってしまいます。

【アキレス腱付着部のモヤモヤ血管(アキレス腱付着部症)】
後脛骨動脈末梢から踵骨枝が分枝しており、その先に病的新生血管が濃染像(stain)として観察されます。踵骨枝は腓骨動脈からも分枝します。付着部症の場合は、踵骨枝および踵骨枝から延びるアキレス腱枝が重要になってきます。治療後は画像上速やかに消失しています。

 
 

【腰臀部のモヤモヤ血管】
腰やお尻の痛みに対して治療する際は、腰椎周囲や骨盤内の血管が主たる標的血管となります。この領域のモヤモヤ血管は比較的深部に存在することの他、組織が分厚いこと、骨や臓器、腸管ガスと重なることなどから見た目ではモヤモヤ血管をとらえることは難しいです。体格や炎症の程度によっては確認できることがありますが、この症例では閉鎖動脈という腸骨、恥骨、閉鎖筋、内転筋などに分布する血管でモヤモヤ血管が描出されました。腰臀部痛の治療では鍵となる重要な血管の一つです。胎生期には下肢の方まで分布していた血管であり、下肢の痛みにも関係することがあります。腰臀部痛では非常に広範囲の治療を要することが多く、両側で20ヵ所以上の治療を行うこともあります。

 
 

【股関節のモヤモヤ血管】
変形性股関節症に対して人工股関節全置換術が行われていますが、手術後に残った痛み(後遺症)に対して治療を行った症例です。人工物に遮蔽されて、血管が一部描出されていませんが、人工骨頭周囲のモヤモヤ血管(病的新生血管)が濃染像として著明に描出されています。治療後、画像上速やかに消失します。

 
 

【股関節のモヤモヤ血管(グロインペイン症候群)】
鼠径部にとどまらず、恥骨部、内転筋周囲、睾丸後方、下腹部まで広く炎症が及んでいることもありますが、血管の分布に沿って治療をすることで一度に治療をすることが可能です。主要な血管である閉鎖動脈および内側大腿回旋動脈の血管造影において、病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像(stain)として描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。

【手関節のモヤモヤ血管(関節リウマチ)】
関節リウマチ(RA)とは全身の血管炎ですので、モヤモヤ血管が著明に描出されることが多いです。本症例では、骨間動脈造影により手関節に多量に生じた病的新生血管(モヤモヤ血管)を濃染像として確認できます。治療後は画像上速やかに消失します。

 
 

【手関節のモヤモヤ血管(TFCC損傷)】
手首はモヤモヤ血管がよく観察できる場所の一つです。TFCC損傷、尺骨突き上げ症候群、腱鞘炎、骨折後の遺残痛、関節リウマチなどで描出されます。本症例は、骨間動脈からの病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として確認されました。治療後は、画像上速やかに消失します。

 
 

【手関節のモヤモヤ血管(尺側手根伸筋腱障害)】
尺側主根伸筋腱障害は、同じ手首の痛みで症状が似ていることから、TFCC損傷とよく間違われます。本症例では、尺骨動脈の分枝である手根動脈から、病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として強く描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。

 

【手首のモヤモヤ血管(ドゥケルバン腱鞘炎)】
親指側の手首に生じる代表的な痛みです。橈骨動脈造影により、短母指伸筋腱や長母指伸外転筋腱およびそれらを覆う腱鞘周囲に生じている病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像(stain)として描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。

 
 

【足のモヤモヤ血管(足底筋膜炎)】
エコー検査ではわかりにくい部位ですが、血管撮影検査では比較的容易に描出可能です。
本症例では、後脛骨動脈の末梢より分枝する踵骨枝からの濃染像として病的新生血管(モヤモヤ血管)が観察されます。典型例では、踵骨内側隆起に圧痛を認めますが、本症例のモヤモヤ血管画像も同部位に一致して確認できます。治療後は画像上速やかに消失します。

 
 

【足のモヤモヤ血管(有痛性外脛骨)】
舟状骨の内側にある過剰骨が外脛骨であり、痛みを伴うと有痛性外脛骨と呼びます。本症例では、同部位に一致して、内側足底動脈造影により病的新生血管(モヤモヤ血管)が濃染像として描出されています。治療後は画像上速やかに消失します。

 
 

【足のモヤモヤ血管(シンスプリント)】
シンスプリントは、脛骨(すねの骨)の内側中央から下方1/3において比較的狭い範囲に生じる骨膜の炎症です。この部位に分布する血管は非常に細いため、モヤモヤ血管は視覚的にははっきりしないこともあります。筋肉に分布する血管とは異なりますので、誤認しないよう正確に治療する必要があります。

 
 

【足のモヤモヤ血管(足関節OA)】
足関節は膝関節や股関節と比べて変形性関節症の頻度は少ないのですが、同様にレントゲンで距骨と脛骨の隙間に位置する軟骨のすり減り、骨棘形成、骨硬化像などを認めます。血管造影では炎症にともなう病的新生血管(モヤモヤ血管)を濃染像(stain)としてとらえることができます。変形性関節症には必ずモヤモヤ血管があるのです。
動画は、後脛骨動脈造影(正面像、側面像)ですが、腓骨動脈および前脛骨動脈からも描出されます。治療後は画像上速やかに消失します。

【帯状疱疹後神経痛のモヤモヤ血管(胸、背中)】
帯状疱疹後神経痛は様々な部位に生じます。他疾患に比べると、モヤモヤ血管が見た目ではわかりにくい特徴があります。比較的表層の血管が標的となります。胸~背中に生じている場合、かなり広範な治療が必要ですが、これはその内の外側胸動脈造影画像です。治療前後を比べるとモヤモヤ血管と思われる血管が消失していることを確認できます。

 
 

【頭のモヤモヤ血管(帯状疱疹後神経痛)】
帯状疱疹後神経痛では、頭蓋表層や顔面に分布する血管から生じた病的新生血管が関与することがあります。帯状疱疹後神経痛に関与するモヤモヤ血管は、胸背部に生じた場合と同様に一般的にはあまりよく観察できません。組織が分厚く、頭蓋骨が存在すること、一方で関与する血管は極めて表層に位置することなどが理由と考えられます。頭・顔面に分布する複数の血管が標的となりますが、動画では浅側頭動脈造影を示しています(正面・側面像)。同部位の治療により頭頂部から側頭部、前頭枝経由で前頭部の痛みを改善することが可能です。
※尚、もやもや病は脳に生じる血管の病気(脳外科領域の疾患)であり、慢性痛に伴い生じているモヤモヤ血管とは異なります。
※頭部・顔面の血管は、頭蓋内と交通のある部位が存在します。治療に際しては、必ず経験豊富な施設/医師にご相談ください。

 
 
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