令和の痛み治療【坐骨神経痛】
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることであらわれる、痛みやしびれるような痛みなどの症状のことを指します。病気の名前ではありません。
年齢が若い場合は、腰椎椎間板ヘルニアが多く、高齢になると、腰部脊柱管狭窄が増えてきます。腰部脊柱管狭窄、腰椎椎間板ヘルニアとも腰椎(背骨の腰の部分)に起こる異常によって神経根が圧迫され、下半身に痛みやしびれるような痛みを引き起こします。その他、梨状筋症候群など腰部以外の原因により坐骨神経痛が生じることもあります。
・お尻から足の先にかけて痛みがある ・長い時間立っている事で痛みが辛くなる ・腰を反らすと下肢に痛みやしびれを感じる ・座り続けるとお尻が痛くなる ・歩くと下肢に痛みが出て歩けなくなる ・体をかがめると痛みが強くなる
上記の他、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などによって坐骨神経痛の症状が現れている場合は、重症化すると歩くだけで尿が出そうになったり、長い距離を歩けなくなるなどの症状が現れ、日常生活に支障が生じます。また、重症化してからでは治療も大変になるので、坐骨神経通が疑われる症状がある場合は早期に医師の診察を受け、治療を受けるようにしましょう。
坐骨神経痛はあくまでも疾患ではなく症状なので、原因となり得る疾患をそれぞれ診断していく必要があります。主に問診、診察、画像検査などで坐骨神経痛の原因を探り、それに応じて適切な治療方法を検討します。まずは自身が自覚している症状を医師に伝え、医師が歩行や姿勢などを確認し、痛みやしびれを感じる箇所に触れたりすることで診断されます。脊椎や筋肉などの状態を調べるために、エックス線検査・腰椎レントゲン・CT・MRIなど、それぞれに適した画像検査も行います。重篤な坐骨神経痛を自己流で対処して悪化させてしまう危険性もあるため、まずは受診して医師の診断・指示を受けることが望ましいです。
保存的治療と外科的治療があります。原則として、発症から6~8週間は保存的治療を行います。保存的療法として、薬物療法、神経ブロック療法、理学療法などを並行して行います。それでも症状が緩和されない場合は外科的治療(手術)を検討します。一方、高齢による脊椎変形で生じる坐骨神経痛の場合は、日常生活が高度に支障されない限り、保存的な治療を行います。
①硬膜外ブロック 脊椎の間から針を通して脊髄神経を包む膜(硬膜)の外に局所麻酔薬やステロイドを注入します。鎮痛薬の内服のみと比較した研究で、有意に痛みを軽減する事が報告されています。急性期は、1週間に1回程度、外来で硬膜外ブロックを繰り返します。
②神経根ブロック 脊椎から出た神経根に直接局所麻酔薬を注入します。X線造影装置のある施設で行います。
③梨状筋ブロック 梨状筋症候群(梨状筋の圧迫による坐骨神経痛)が疑われる場合に選択します。このブロックの効果の有無が診断に繋がります。局所麻酔薬による麻酔効果とともに、筋膜の間に位置する坐骨神経の周囲にスペースを作り、圧迫を解除する事による鎮痛効果も期待できます。
上記とは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。
坐骨神経痛の予防・改善にはストレッチが効果的だと考えられています。ストレッチによって背骨や筋肉をゆっくり伸ばして緊張をほぐせば、椎間板や脊柱管への負担を軽減することができます。デスクワークや立ち仕事によって長時間の同じ姿勢でいることが多い人は、仕事の合間にストレッチをするのがおすすめです。
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