令和の痛み治療【アキレス腱炎】

アキレス腱とはどこですか?

アキレス腱はふくらはぎの筋肉(腓腹筋内側頭と外側頭、ヒラメ筋)の共同腱であり、これら筋肉とかかとの骨(踵骨)をつないでいる部位です。人体で最も太く強靭な腱です。

アキレス腱炎とはどのような病気ですか?

一般に広くアキレス腱部に生じる炎症についてアキレス炎と呼ばれていますが、アキレス腱部の障害としては、①アキレス腱症;アキレス腱本体(実質部)の障害 ②アキレス腱付着部障害;踵骨とのつなぎ目の障害 ③アキレス腱周囲炎の3つに大別されます。

アキレス腱炎の原因は何ですか?

ランニングなどのオーバーユース(使い過ぎ)で発症することが多いです。運動時には体重の約12倍もの張力が作用するため、他の部位に比べてスポーツで断裂しやすいのです。前に強く踏み出す動作、ダッシュ、ジャンプ、踏ん張ろうしたときなどに負担がかかります。

アキレス腱炎の症状について教えてください。

実症例よりお示しします。
アキレス腱を押すと痛い
アキレス腱が腫れている、見た目に赤い
踵立ちで痛みが増す(ひどくなると、つま先立ちでも痛みが出る) 運動により悪化する。ひどくなると、安静時にも痛みが出る。

アキレス腱炎はどのように診断しますか?

痛みの部位や症状が特徴的であることから身体診察からも容易に診断可能ですが、部位の詳細や、重症度の判定については画像検査が求められます。MRI検査ではアキレス腱実質の変性の程度や周囲の炎症を評価できます。最も簡便かつ詳細に観察できるのは超音波検査(エコー)です。アキレス腱のエコー輝度や、腫脹の有無・程度、異常血流信号(モヤモヤ血管を含む)、周囲組織の状態など観察していきます。治療後の経過観察にも適しており、アキレス腱炎診療には必須といっても過言ではありません。

アキレス腱付着部症と言われました。アキレス腱炎とは異なるのでしょうか?

アキレス腱とかかとの骨(踵骨)のつなぎ目に生じる炎症です。アキレス腱本体(実質部)や周囲の障害とは区別されます。

アキレス腱炎にはモヤモヤ血管は関係していますか?

関係しています。古くは、エコーで確認できる異常血流信号に対して血管硬化療法を行うことで症状が改善したことなどが報告されてきました。最近はカテーテルを用いて血管の中から病的新生血管(モヤモヤ血管)に対して直接一時塞栓物質を投与することでより強力な症状改善がえられることがわかってきました。

アキレス腱炎の治療法について教えてください。

基本的には保存療法となります。とにかく安静ですね。スポーツも休み、鎮痛薬などで様子をみることとなります。より積極的な治療として、炎症の持続に関与している病的新生血管(モヤモヤ血管)に対する微細動脈塞栓術(運動器カテーテル治療)が注目されています。筋腱組織に悪影響を及ぼさず、血管に作用しますので、アキレス腱に対して愛護的に治療できます。微細動脈塞栓術は全身の多くの部位で応用されていますが、特に腱炎に対しては炎症を鎮める効果が強いようです(腱炎が強い炎症を伴うことの裏返しかもしれません)。治療効果については別項をご参照ください。

アキレス腱炎の運動器カテーテル治療について教えてください。

足の付け根の血管(鼠径部の大腿動脈)から下向きに管を入れます。そこから細い管(カテーテル)をアキレス腱近傍まで進めていきます。標的血管より血管撮影を行いモヤモヤ血管を確認したうえで、一時塞栓物質を投与します。投与時に熱感や軽度の疼痛を感じます(再現痛)。複数の標的血管をもれなく治療した後に管をぬいて圧迫止血します。治療時間は20分程度、日帰り治療です。

アキレス腱付着部症も運動器カテーテル治療の適応になりますか?

適応となります。部位にかかわらず、血管の分布に沿って広く治療できるのが運動器カテーテル治療の強みです。

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