令和の痛み治療【上腕二頭筋長頭腱炎】
上腕二頭筋長頭は上腕骨(腕の骨)の結節間溝と横上腕靭帯からなるトンネルを通ります。野球の投球動作、テニスのサーブ、バレーのアタックなどオーバーハンドスポーツをされるアスリート、トレーニングのお好きな方、重労働をされる方に多く見られます。上腕二頭筋は腕を上げたり肘を曲げたりするときにつかいます。その際にかかる、腱とトンネルでの摩擦により、炎症を引き起こします。そのため、腕を上げようとしたり荷物を持ち上げようと力を入れた際に痛みが出たりします。病態が進行すると、慢性化したり腱の断裂を引き起こすことがあるので、注意が必要です。
下記の痛みの誘発がある場合、上腕二頭筋長頭腱炎の疑いがあります。
ヤーガソンテスト 術者は患者様の肘を90度曲げさせ、手を内向きに捻らせる。患者は術者の内向きへの力に対抗して手を外向きに返す。このとき肩関節の前面に痛みが生じた場合、上腕二頭筋長頭腱炎が陽性となります。
スピードテスト 患者様の手のひらを上に向けて、肘を伸ばして頂き、そのまま上に上げていきます。術者は患者の手をつかみ、下向きに抵抗をかける。肩関節の前面に痛みが生じた場合、上腕二頭筋長頭腱炎が陽性となります。
検査としては、レントゲンに損傷はうつ らないため、問診やテスト法、MRI検査、 超音波検査などが有効です。早期回復には超音波や微弱電流といった物理療法を行い、炎症を抑え組織の回復をはかることが可能です。また、手技療法を行い上腕二頭筋をはじめ肩周りの筋肉を緩め、患部にかかるストレスを減らすことも大切です。その後、運動療法を行い、復帰や再発予防のための強化を行います。 その他、症状改善のため注射を行うこともあります。上記の治療を4-6カ月間行って症状が改善しない場合は、上腕二頭筋長頭腱を結節間溝の中で固定する手術や烏口突起と呼ばれる箇所へ腱の走行を変える手術の適応となることがあります。
上記とは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。
整体やカイロプラクティックはおすすめはしません。理由は「症状の軽減はあるかもしれないが、症状を悪化させてしまう方も多い」からです。実は整体師やカイロプラクターと名乗る人たちが持っている資格は3ヶ月程度の受講でとれてしまう民間資格なのです。日本では、柔道整復師や鍼灸師、マッサージ師といった資格は国が指定する学校へ3年間ほぼ毎日通い国家試験に受かったものしか名乗れません。解剖生理などの知識が一定以上なければ危険であると国が判断しているということです。誰でも簡単に名乗れてしまうだけに、技術のレベルにとてもムラがあるのは想像がつくと思います。以上のことを踏まえると、カイロプラクティックや整体といったものを安易に選ぶのは少し考えものです。
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