令和の痛み治療【変形性股関節症】

股関節の仕組みってどうなってるの?

股関節は骨盤と大腿骨をつないでいる関節です。大腿骨の上端にある「骨頭(こっとう)」という部分は丸い球のような形状で、骨盤の「寛骨臼(かんこつきゅう)」にある「臼蓋(きゅうがい)」という受け皿のような部分にすっぽり収まる構造になっています。骨頭と臼蓋の間には、クッションの働きをしている厚さ2~3mmの軟骨があり、直接骨がぶつからないようになっています。さらにその周囲は「関節包(かんせつほう)」という袋で守られ、その内部は「関節液」という液体で満たされています。関節液は、関節をスムーズに動かすための潤滑油のようなもので、軟骨に栄養を与える役割もあります。軟骨の主成分は水やコラーゲンで、血管や神経などはないため、多少擦り減った程度では痛みは起こりません。
しかし、軟骨の擦り減りが進み、徐々に軟骨の下にあった骨が露出してくるようになると、直接、骨同士が擦れるようになって痛みが発生し、骨同士が押しつぶされることで骨が固くなる「骨硬化(こつこうか)」という症状も見られるようになります。さらに症状が進行すると、接している骨の周辺に「骨のう胞(こつのうほう)」という穴が開きます。すると今度は、それを修復しようとする作用で「骨棘(こっきょく)」という突起状の骨が作られるようになり、次第に関節(骨)そのものが変形していきます。

変形性股関節症の症状は?

「変形性股関節症」の特徴は、例えば、起き上がり時や立ち上がり時、歩き始めなど、動作に伴って太ももの前か横に痛みが出るのが特徴です。安静にしていても痛いのは、関節の変形が始まっている可能性があります。関節がボキボキと音を出したり、寝ていても痛いのはかなり重症で、関節の変形が始まっている可能性があります。関節をおさめる臼蓋は、1度程度の微妙な角度が重要になります。レントゲンで、臼蓋の角度を専門医が診れば、今の段階でこのくらいの角度なら、5年後、15年後にはこうなるという予測もできます。 痛みが生じる部位は太ももの前か横で、後ろ側にはほとんどでません。もし臀部の痛みがあれば、それは坐骨神経痛を疑います。股関節の周りが左右同じように痛む場合もありますが、どちらか片方の場合もあります。あるいは1年くらいの違いでもう片方が痛くなることもあります。

変形性股関節症の原因は?

股関節は、大腿骨の骨頭という先端が丸くなっている骨が、骨盤側のくぼんでいる臼蓋というところにフィットしており、その構造によって足を前後左右斜めに動かせるようになっています。歩くことで股関節には負荷がかかりますが、正常な状態ではクッションの役割を果たす軟骨が衝撃をやわらげているため、大きな問題は起こりません。しかし、加齢などによって軟骨が摩耗すると、少しずつ骨が変形して炎症が起きてしまいます。一般的に体重が重いほど股関節の負荷が大きいため、軟骨が減りやすくなります。また、臼蓋が小さ過ぎるといった臼蓋形成不全に気づかないまま長年過ごし、中高年になって痛みが出る場合もあります。臼蓋形成不全は、乳児の頃に足を伸ばしてあてるタイプの布おむつによって股関節の角度が浅くなってしまったことに関係があるといわれているため、紙おむつが主流になった近年では形成不全は減少していると言われています。

変形性股関節症の検査・診断は?

変形性股関節症の診断は問診とレントゲン検査が基本です。医師の問診では、痛みの強さや持続時間、いつから痛みが始まったかなどを確認し、股関節の軟骨の減り具合や骨の状態を確認するためにレントゲン検査を行います。柔らかい軟骨自体は、レントゲンには写りませんが、臼蓋と大腿骨頭のすき間が十分にあれば軟骨はまだ十分にあるということが確認できます。反対に、臼蓋と大腿骨頭の間にすき間がなくなり、骨同士が近くなっている場合には、軟骨が擦り減ってしまっているということで、臼蓋や骨頭の形やズレなど、骨そのものの変化を画像で確認することができます。(場合によりMRI、CTを行うケースもあり)そのほか、「関節リウマチ」など他の病気が疑われるケースは、血液検査や関節液検査(股関節の関節液を採取して成分を調べる)などさらに詳しい検査を行う場合もあります。

変形性股関節症の進行スピードは?

関節の変形はだいたい2年くらいで起こります。関節の上下に、ふつうは3~4ミリの厚さがある軟骨が、2年で、早ければ1年でゼロになることもあります。痛みは、はじめの3カ月くらいは強く感じますが、その痛みはじきにおさまってしまいます。でも、軟骨の摩耗や関節の変形は止まりません。はじめの段階で、状態を正しく診てもらうことが重要なのです。じっとして歩かなければ軟骨の減少は止まるかもしれませんが、日常生活をしている限り、軟骨は必ず減っていきます。
なお、痛みがでているのに「運動した方がいい」「筋肉をつければいい」と運動する人がいますが、運動すれば多かれ少なかれ軟骨に負荷がかかるので、残された軟骨がどんどん減ってしまいます。痛いときは安静にして、活動を下げることです。股関節の痛みを我慢して動いていると、誰が見てもバランスを失った歩き方になります。軟骨が減り、変形したほうの足が短くなるのです。そして、ますます歩き方が変になり、膝や腰などほかの部分に余計な負担がかかって、傷んでくるでしょう。30歳で形成不全が分かったけれど、40年間我慢し続け、受診した時には悪いほうの足が3センチも短くなっていた人もいます。

変形性股関節症の治療法は?

変形性股関節症は、放置していると徐々に進行してきます。治療法を選ぶ上で重要なのが、痛みの程度とレントゲン上の進行度です。まずは保存療法を行ってみて、それでも改善しない場合には手術療法を行います。

保存療法(手術しない治療法)
日常生活での股関節への負担を減らすための生活指導を行ったり、運動療法や温熱療法、鎮痛剤や湿布の処方を行ったりします。歩くときには体重の2~5倍の力が関節にかかりますので、ダイエットすることが何よりも一番大切です。また、重い物を持つのはひかえ、買い物などではできるだけカートを使うようにします。外出の際は車や自転車を利用し、階段よりもエレベーターやエスカレーターを使うようにして、なるだけ長歩きをしないようにします。歩くときには運動靴を履いて、できれば杖をついたりします。運動療法によって股関節周囲の筋肉が鍛えられ、関節を安定させる効果があり、ダイエットにもなります。そこで、股関節にあまり負担のかからない、プールでの水中運動がおすすめです。ただし、痛みが強いときは運動をひかえ安静にしておきます。

手術療法:保存療法で改善がみられない場合には手術療法を行います。
寛骨臼移動術
臼蓋形成不全のある股関節を長持ちさせるために行う手術方法です。人工関節をするほど進行していない初期までの股関節症に対して行います。寛骨臼をくり抜くように切って、大腿骨頭の上にかぶせるように移動します。
人工股関節置換術
関節の傷んだ部分を取り除いて人工関節に入れ替える手術です。進行した股関節症に対して行います。術後はすぐに歩く練習をはじめ、1ヶ月もすれば退院できるようになります。

変形性股関節症を早く治すにはどうしたらいいですか?

上記とは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。
変形が治るわけではありませんが、痛みを改善することは可能です。手術適応となるほど進行していない方、手術適応だが何らかの理由で手術を受けられない方、あるいは手術を避けたい方が対象です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。

 

変形性股関節症の治療後の注意は?

人工股関節全置換術は有効な手術ですが、年月がたつにつれて人工関節にゆるみが生じ、人工関節の入れ替えのための再手術が必要になる場合もあります。20年で約60%の患者に緩みが生じているというデータがあるようですが、再手術をすれば1~2ヵ月の入院でほぼ元通りになると言われています。また、股関節に痛みがあると動かすのをためらってしまいがちですが、そうすると股関節のまわりの筋力が弱まり、さらに関節の可動域が狭くなるといった悪循環に陥るため、適度なトレーニングは欠かせません。杖を持つことに抵抗がなければ、杖をつくことも股関節への負荷を軽減するために有効です。

変形性股関節症の実例紹介

モヤモヤ血管

肩・腕・肘・手

腰臀部股関節

 
 

 
 

その他

 
 
 
PAGE TOP