令和の痛み治療【五十肩】

五十肩と言われました。どんな病気ですか?

江戸時代から用いられている俗語であり、医学的には凍結肩(frozen shoulder)、癒着性関節包炎(adhesive capsulitis)と呼ばれます。肩関節の袋の炎症などが原因と考えられています。

どんな症状になるのですか?

典型的には激しい痛みが続く時期(炎症期;~3ヶ月)、痛みの残存とともに徐々に可動域制限が出現する拘縮以降期(3~9ヶ月)、可動域制限が主症状となる拘縮期(9~14ヶ月)、症状が治まる寛解期(15~24ヶ月)に大別されます。特に夜間痛を生じることが多く、痛みで眠れず、うつ状態になって来院される方も少なくありません。
動かしたときの痛みは全方向でみられます。また、難治性の拘縮肩に移行する場合もあります。
代表的な症候
『手を後ろに回せない』
『反対の肩に手を回せない』
『棚に荷物を置けない』
『手を伸ばせない』
『服の着替えができない』
『シャンプーができない』
『髪を結ぶことができない』
『髪をとかすことができない』
『エプロンを結ぶことができない』
『おしりを拭くことができない』
『自分で食事をとることができない』
『痛くて眠れない』
『痛みのため1時間おきに起きてしまう』
『寝返りをうてない。うつたびに痛くなる』 『子供と添い寝ができない』

どうやって診断されますか?

症状や身体診察に特徴がありますが、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、変形性関節症などと間違われたり、同疾患を合併している症例があります。特異的な検査所見はないため、レントゲンやエコー、MRI検査などによる他疾患の除外診断により診断されます。

レントゲンでわかりますか?

レントゲンでわかるのは、変形性肩関節症と石灰沈着性腱板炎のみです。この2つが肩関節周囲炎に占める割合は10%未満です。

どんなひとが五十肩にかかりやすいのですか? 五十肩の原因は何ですか?

大きな外傷が見られることは稀であり、そういえばと思い出される程度の比較的軽いストレスがきっかけとなる場合が多いです。糖尿病患者で高い罹患率が報告されているほか、甲状腺機能異常、心疾患、肺疾患、悪性腫瘍、パーキンソン病、脳出血、薬剤(抗HIV薬)、喫煙などとの関連性が指摘されています。

どんな治療がありますか?

保存療法が第一選択です。痛み止めの内服はあまり効きません。ステロイド注射は有効ですが、6回以上の注射は効果が乏しいとの報告があります。理学療法(リハビリ)は可動域改善などに有用ですが、痛みの強い時期には困難であり、ブロック注射と併用して行うなども試みられています。6-12ヶ月経過しても改善がみられない場合、線維化して硬くなった関節のふくろを切り離すような手術(鏡視下授動術)が検討されます。これらとは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。

再発しますか?

同側の再発は稀ですが、反対肩にも生じる場合があります。また、初回よりも2回目以降の方がより症状が強くなることが多いです。

痛みがだんだんひどくなって不安です。

発症してしばらくはさらに痛みが強くなることがあります(~9ヶ月)。夜間の痛みも伴い眠れなくなったりするのでご不安なことと思いますが、症状が変化することが五十肩の特徴でもあります。

マッサージで悪化しますか?

五十肩に限らず、炎症の強い時期に無理にマッサージを行うとかえって悪化する場合があります。炎症はまず鎮めることが先決です。五十肩はマッサージでよくなる病気ではありません。

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