令和の痛み治療【膝靱帯損傷】

膝靱帯損傷とは?

膝関節を安定化させる靱帯として、内側には内側側副靱帯、外側には外側側副靱帯、膝関節脛骨の前方から大腿骨側に向かう前十字靱帯、脛骨の後方から大腿骨側に向かう後十字靱帯があります。急なストップ動作や方向転換の際、膝をねじることで発生します。外側、および内側側副靱帯は、膝が左右にグラつくのを抑え、前十字靱帯は膝から下が前に出ないようにストッパーの役割を果たしています。さらにこれらと、後十字靱帯で膝の安定性を保っています。内側側副靱帯や前十字靱帯が断裂してしまうと、膝の安定性が失われ、踏み込みや切り返しが困難になるのはもちろん、半月板の損傷など、合併損傷を引き起こすこともあります。

膝靱帯損傷の原因は?

主にラグビー、柔道など人と接触する機会が多いスポーツによる受傷だけでなく、バスケットボールやバレーボールなど急激な体位変換動作やジャンプの着地動作等によっても受傷することが多いようです。自転車やバイクなどの交通事故、転落などでも受傷します。膝への外力の加わり方によって種々の靱帯の損傷をきたします。受傷すぐの時期は、膝関節部の疼痛、腫脹、圧痛等があります。急性期を越えると腫脹は軽減してきますが、膝崩れや膝の不安定感が現れてきます。

靱帯損傷と靱帯断裂の違いは?

靱帯は大きく分けて側副靱帯と十字靱帯に分かれており、それらがバランスをとりながら関節を支えています。なので、一部が損傷、断裂してしまった場合、一方に強く引っ張られてしまう事になり、膝関節が不安定になってしまうのです。
靱帯損傷:少し傷ついた程度であれば、一時的な痛みが出る程度です。日常生活に大きな支障は出ず、次第に痛みも引いていきます。
靱帯断裂:靱帯が完全に切れてしまった場合は、激しい痛みを伴います。その後は階段の上り下りや正座をしても痛みを感じ、その後膝関節の不安定感が出始めます。

膝靱帯損傷の診断方法は?

靭帯を痛めた状況や膝の状態を確認し、徒手テスト(膝に特定の動きを与えて反応を見るテスト)を実施します。また、MRI検査で靭帯の状態を確認します。加えてエックス線検査を行うこともあります。エックス線では靭帯は見えませんが、周囲の骨の外傷や骨の位置のずれ具合を調べる際には有効です。

どの靭帯が損傷したかで保存的治療か手術を選択

治療方法は、保存的治療と手術療法の2つです。

保存的治療
内側側副靱帯、後十字靱帯は、膝装具やギプス固定による治療で日常生活動作やスポーツ活動に支障をきたすことが少ないことから主に保存的治療が行われています。

手術療法
前十字靱帯は、高いレベルのスポーツ活動を行うのか、また年齢や職業など社会的背景をふまえて手術療法が考慮されます。手術療法では一般に関節鏡を用いた手術による自分の腱組織を用いた靱帯再建術が行われています。後十字靱帯は保存的治療で日常生活動作や運動に支障をきたすことが少ないようですが、症状が残存する場合は靱帯再建術が検討されます。なお、複数の靱帯の損傷がある場合、新鮮損傷では保存的、手術療法と議論されています。受傷から時間が経過して、不安定性が残っているようであれば手術療法が選択されます。

術後のリハビリテーションは施設によって異なりますが、3~6カ月ほどのリハビリテーションで膝の可動域がアップし、筋力も増強してくればスポーツ活動へ復帰することとなります。

予防・治療後の注意

スポーツによる膝靭帯損傷を防ぐためには、運動する前に準備運動を行うことを習慣づけましょう。また、膝やハムストリング腱を鍛えることも予防につながります。手術を受けた場合は、適切なリハビリテーションを行うことが大切で、医師の指導のもと、少しずつ膝を動かしながら可動域を広げたり、筋力を回復する訓練を続けたりする必要があります。リハビリテーションは数ヵ月にわたってやる必要があるため、自己判断でやめず、運動が再開できるまでしっかり続けることが重要です。

膝靱帯損傷を早く治すにはどうしたらいいですか?

近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。但し、外科的再建術が必要と判断された場合、その代替にはなりません。保存的治療の方針とされた場合にご検討ください。

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