令和の痛み治療【帯状疱疹後神経痛】
帯状疱疹は、子どもの時にかかった水ぼうそうの原因ウイルスが神経の中に潜んでいて、何年か経ってから何かのきっかけで再び表に現れてくると起こるものです。疲れたり、体の抵抗力が落ちたりしているときに発症します。帯状疱疹にかかると痛みと小さな水ぶくれが現れます。皮膚の症状や痛みは普通そのうちに治りますが、皮膚の症状が消えた後にも痛みが残る場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。
帯状疱疹は、子どものときにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、水ぼうそうが治癒した後も、脊髄近くの神経節と呼ばれる部分に潜み、疲れやストレスなどで身体の免疫力が低下したときに再び活性化することで、神経を通って皮膚に水疱ができます。日本人では5~6人に1人がかかるといわれています。また、帯状疱疹の名前は、神経に沿って赤い斑点(疱疹)が皮膚に帯状にできることに由来しています。
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹を発症したときには正常であった神経線維が、ウイルスによって傷つけられてしまうことで発症すると考えられています。 帯状疱疹後神経痛は、ウイルスによって神経が傷ついた結果、神経の過剰な興奮や自発痛、痛みを抑制する経路の障害などが起こり、これが原因となって、痛覚過敏やアロディニアなどが起こるとされています。
帯状疱疹後神経痛では、主に持続的で焼けるような痛みや断続的で繰り返し刺すような痛みが混ざって生じますが、その他にもさまざまな痛みを生じたり、感覚が鈍くなることもあります。帯状疱疹後神経痛の主な痛みには、次のような痛みや症状が混在していたり、時間とともに変化するといった特徴があります。
・間欠的な(一定の時間で繰り返す)刺すような痛み ・ヒリヒリする、チカチカする、ズキズキする痛み ・針で刺すような痛み ・締めつけられるような痛み ・灼熱痛:持続的な焼けるような痛み
帯状疱疹後神経痛の従来の治療法は、抗うつ薬や鎮痛剤、神経ブロック療法、レーザー治療、イオントフォレーシス、鍼灸治療など、人によって違う症状や程度に合わせ治療法をきめ細かく選択して行われます。
①神経ブロック療法 【星状神経節ブロック】 顔・頭・手の帯状疱疹には星状神経節ブロックを行います。 血の巡りがよくなり痛みがらくになります。
【硬膜外ブロック】 脊髄の周りの硬膜外という所に局所麻酔薬を注入する硬膜外ブロックは、神経を一時的にしびれさせて痛みをとるので、 首から足の先まで体のどこにできた帯状疱疹の痛みにも効果的です。
②理学療法 レーザー照射、温熱療法、電気刺激療法、イオントフォレーシス等
③薬物療法 鎮痛薬・抗うつ薬・抗けいれん薬・漢方薬などの内服、局所麻酔薬配合の塗り薬などで治療します。最近では、効果の期待出来る新薬が続々と承認されております。
上記とは別に、近年注目されている運動器カテーテル治療という方法があります。痛みを長引かせている微細な病的新生血管(いわゆるモヤモヤ血管)に直接アプローチする方法です。通常の治療で良くならない場合、あるいはとにかく早く楽になりたい方は検討されるとよいでしょう。
帯状疱疹後神経痛は主に薬物療法で治療しますが、痛みを完全に取り除くのは困難です。しかし、生活習慣を工夫することで痛みと上手に付き合っていくことができます。また2016年3月より、50歳以上を対象に帯状疱疹発症予防のためのワクチンが接種できるようになりました。
日常生活の注意点 ・好きなことに熱中する、外出する(痛み以外のことに注意を向ける) ・入浴してよく温める ・身体を冷やさないようにする ・疲労やストレスをためない、睡眠を十分にとる ・患部を刺激しない(患部にサラシなどを巻いて衣服がこすれないようにする、など)
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