令和の痛み治療【テニス肘・ゴルフ肘】

テニス肘の具体的な症状を教えてください。

実際の症例からご紹介します。
肘を伸ばすときに痛い、テニスのバックハンドで痛い
手首を使うと肘が痛くなる
肘の外側を押すと痛い
物を持ち上げられない
物を持つ、つかむ動作で痛くなる
ペットボトルの蓋を開けられない
お箸を持つのもつらい
ゴルフの構えをとったときに痛みが出る

テニス肘/ゴルフ肘はなかなか治らないと聞きますがどうしてですか?

腱周囲の組織はそもそも修復されにくいのです。肘の酷使(使いすぎ)がそもそもの原因ですから、いかなる治療をしても安静が最も重要ですが、肘を全く使わずに生活することは困難ですのでどうしても長引いてしまう傾向があります。特に治りかけたころにすぐに無理をしないことが重要です。

テニス肘、ゴルフ肘はテニスやゴルフをしなくてもなるのですか?

典型的には肘を伸ばすときに外側に生じる痛みをテニス肘、曲げるときに内側に生じる痛みをゴルフ肘と言いますが、テニスをしていても内側が痛くなる場合がありますし、ゴルフで外側が痛む場合もあります。また、家事や犬の散歩、赤ちゃんの抱っこ、書道、絵画、楽器演奏、散髪(理美容)など様々な動作が原因となります。スポーツに限ったことではありません。

テニス肘/ゴルフ肘にモヤモヤ血管は関係していますか?

テニス肘に関しては、他の部位に比べて、より直接的にモヤモヤ血管(病的新生血管)が関与していることが報告されています。実際に血管撮影検査をすると、ほとんどの方で画像上モヤモヤ血管を確認することができます。

テニス肘/ゴルフ肘の治療にはどんな治療がありますか?

痛み止めのほか、炎症が強い場合はステロイド注射などが用いられます。但し、ステロイドは腱を弱くしてしまったり、断裂させてしまう危険性があるので、短期間での頻回の注射や、高容量の注射は避けなければなりません。特に複数の医療機関で治療を受けることになった場合は情報が共有されないことで過量になる危険性がありますから注意が必要です。どういった注射をいつ受けたかを記録しておくと安心です。強い痛みは1回のステロイド注射でも楽になることがありますが、6ヶ月以上の長期的な効果はないという報告もあります。
他に保険外診療として、体外衝撃波治療やPRP注射(自己多血小板血漿)などが行われています。一定の効果は期待されますが、衝撃波は組織を痛めてしまう懸念があり推奨いたしません。PRP注射は組織の再生・修復を促すものですが、一定の限界があり、また注射の痛みが比較的強いです。こうした保存的治療が無効な場合には手術が検討されることがあります。直視下手術のほか、関節鏡下手術という侵襲の少ない手術が行われています。これまでは既存の保存治療が効かない場合には外科手術の検討がされてきましたが、新しい選択肢として運動器カテーテル治療が注目されています。患部の病的新生血管(モヤモヤ血管)に対して、動脈塞栓術により血管の中から薬を直接投与することで間引く治療です。他の治療が無効な場合でも改善することが示されています。

テニス肘のカテーテル治療とはどのように行うのですか?

手首の動脈から細い管を入れて、肘の血管まで進めたうえで標的血管の造影を行いモヤモヤ血管を確認したうえで一時塞栓物質を投与します。投与後、モヤモヤ血管は直ちに造影上消失します。複数の標的血管を治療した後、カテーテルを抜去し、止血して終了です。所要時間は20-30分程度です。日帰り治療となります。

肘のカテーテル治療後、どれくらいで改善しますか?

通常は1ヶ月を過ぎたころに最も治療効果が出てきますが、他の部位に比べると改善が早い傾向があります。早ければ2週間で変化が感じられます。特に強い痛みや、夜間痛まで生じている場合は、そのような症状が先にとれてきます。動かしたときの痛みが遅れてよくなります。外側に比べると内側の痛みの方が改善まで時間がかかる傾向があります。

肘のカテーテル治療は、一度受けると再発しないですか?

他の治療に比べると再発しにくいですが、もともと肘の酷使にともなう疲労が原因ですから同様の酷使を続ければ再度痛めることとなります(注射の効果が切れれば再発するというのとは異なります)。また、痛みが良くなってすぐの頃はまだ組織の修復過程にありますから、この時期に無理をすると再発しやすいです。すべての痛みに共通して言えることですが、一旦しっかりと治しきることが重要です。特にカテーテル治療後は病的新生血管による盗血現象(血液の盗み取り現象)が無くなることにより血行も改善しますから、組織の修復力や耐久力も増します。例え再度痛めても休めることで以前よりも回復しやすくなります。 経過については個別に異なりますので、詳細についてはしっかりと主治医に説明を受けてください。

肘のカテーテル治療はどのような状態で検討すればよいでしょうか?

比較的軽症の場合や、痛めてすぐの場合は自然軽快が期待できます。安静にして様子をみてください。2ヶ月以上長引く、あるいはより短期間でも痛みが非常に辛くて日常生活に支障をきたす場合は治療対象となります。その他、既存の治療で改善しない方、部分的に改善したがすっきり治したい方、腱を傷めず体に優しい治療を受けたい方(スポーツ目的の方は特におすすめです)、とにかく早く治したい方などにおすすめいたします。

ゴルフ肘と言われています。運動器カテーテル治療を検討していますが、ゴルフは続けられますか?付き合いもあるし、やめられません。

趣味・仕事などでゴルフをされる方々からよくご質問をお受けいたします。原則安静が重要ですので、肘のためには安静が一番ですが、続けながら治したいというお気持ち、ご事情もよく理解できます。重症の方はやはり一定期間休養していただく必要がありますが、状態によっては、練習は極力控えていただいたうえでラウンドは続けていただくということは可能です。治療後は必ず痛みが先に良くなり、遅れて組織の修復が進んでいきます。その間はぶり返しやすいので、痛みが良くなった後に無理しすぎないよう注意していただきたいです。具体的には経過をみながら、球数を決めて練習を再開していただいていますが、あまり難しく考えるよりも、痛みを伴うようなら休むということでご理解いただければよいかと思います。

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